生理前と妊娠初期、自覚症状だけではなかなか見分けがつきにくいこともあります。今回は生理前と妊娠初期の女性のカラダの状態の共通点と違いについて、産婦人科医が解説をしながら、この時期に注意すべきことをお伝えします。


生理前と妊娠初期の女性のカラダの状態は似ている

妊娠したかな?と思ったら知っておこう

生理前と妊娠初期の女性のカラダの状態はとても似ています。「妊娠したかな?」と思っていても生理が来たり、「生理が遅いな…」と思っていたら妊娠していたり。特に妊娠を心待ちにしていらっしゃる方は一喜一憂されることも多いかも知れません。

今回は生理前の女性のカラダと妊娠初期の女性のカラダの共通点と違う点をお話しながら、あわせてその時期に知っておくべきことについてお話していきたいと思います。

生理前と妊娠初期のカラダの共通点と違い

月経予定日前に自覚症状だけで妊娠を知ることは不可能

生理前の女性と妊娠ごく初期の女性のカラダのホルモンの状態は、実はほとんど同じです。したがって月経予定日前に自覚症状だけで、生理が来るのか、あるいは妊娠しているのかを知ることは不可能です。

生理前に胸が張る女性は妊娠初期にも胸が張りますし、生理前に下腹部が張る(太ったように感じる)女性は妊娠初期にも同じような症状を感じます。生理前に眠くなる女性は妊娠初期にも眠くなります。

生理前にも妊娠初期にも、ほとんど同じ症状が出ると思ってください。

月経予定日を過ぎたら

早い方は妊娠の5〜6週くらいから「つわり」の症状を感じることがあります。

生理不順がなければ月経予定日が妊娠4週目になりますので、妊娠5〜6週というと生理が遅れて1〜2週間の時期です。

この時期から、早い方はつわりの症状(嘔吐や吐き気)を感じることがあります。とくに朝方に吐き気を感じる方が多いようです。生理不順がある方は排卵日がわかりにくいので、つわりを自覚して妊娠に気づく方も多くいらっしゃいます。

ここで覚えておいていただきたいのは、もしつわりの症状が「とてもひどい」ときには必ず早めに産婦人科を受診していただきたいということです。ある種の異常妊娠(胞状奇胎など)で、つわりがとても酷くなることがあるからです。

とくに、ひどいつわりと少量の性器出血がある場合はいちばん危険です。胞状奇胎の一部は絨毛癌に進行する可能性があるので、早めの診断と処置が必要です。

妊娠初期には胸が張ることが多い

早い人は妊娠5〜6週くらいから、多くの人は妊娠8週くらいで強い胸の張りを感じます。これは予定月経が遅れて1〜4週の時期にあたります。とくに生理が遅れて4週くらい経つと、妊娠している場合は、多くの女性が強い胸の張り(人によっては痛いくらい)を感じます。

この強い胸の張りは妊娠11〜13週くらいからだんだん落ち着いてきます。その後は胸が張るというよりも、胸が大きくなって重たく感じるようになります。

妊娠検査薬はいつからわかる?

最近は薬局で妊娠検査薬を買って、ご自分で妊娠反応を調べる方が非常に多くなっています。日本の薬局で売られている妊娠検査薬は非常に正確です。早ければ月経予定日、おそくとも月経予定日から2〜3日後には妊娠反応が陽性(プラス)になります。

できるだけ正確に調べるためには早朝尿(朝一番の尿)で検査するのがベストです。早朝尿には最も多くの妊娠を示すホルモンが含まれているからです。

妊娠検査薬で妊娠反応がマイナスだったら?

妊娠検査薬で検査しても妊娠反応が陰性(マイナス)だった場合でも、もし妊娠している可能性が高いのであれば、その後は1週間おきに検査をします。とくに生理不順のある方は排卵日を特定するのが難しいので、何度か検査をしなければ妊娠がわからないことがよくあります。

それまでは妊娠している可能性があるものと考えて、激しいセックスやレントゲンの検査は避けるべきです。ただし、最近は普通のレントゲン検査(単純撮影)や歯科のレントゲン検査は妊娠にほとんど影響ないと考えられていますので、必要に応じて医師と相談しながら検査を受けることは可能でしょう。

ただし、CTや胃透視などは被曝量が多いので妊娠中は避けたほうがよいでしょう。

妊娠がわかったらできるだけ早く産婦人科へ

妊娠検査薬で陽性が出たら、できるだけ早めに産婦人科を受診しましょう。なぜなら、必ずしも正常妊娠でない可能性もあるからです。もちろん多くの妊娠が正常妊娠で、そのまま順調な経過をたどることと思います。

しかし中には、切迫流産、子宮外妊娠、頸管無力症、多胎妊娠などの異常妊娠や妊娠合併症がかくれていることがあります。とくに前に申し上げた胞状奇胎などは絨毛がんに進行したり、次の妊娠ができなくなったりすることがあります。

妊娠が原因で「がん」になることがあるなど、ご存知でない方のほうが多いのではないかと思います。

われわれ産婦人科医は、妊娠初期からお産まで、おなかの赤ちゃんの順調な発育を見守ると同時に、胎児と母体にあらゆる異常がないか常に目を光らせているのです。

妊娠初期のセックスについて

妊娠初期のセックスについていろいろと質問を受けることがあります。

まず、妊娠が判明するまでは普通にセックスをして構いません。「激しいセックス」も特に気にすることはないと考えます。

ただ、妊娠が判明したら、激しいセックスはできるだけ避けるようにしたほうが懸命でしょう。なぜなら妊娠初期はいちばん流産が多い時期です。セックスによる流産がどの程度あるかの信頼できるデータは見たことありませんが、流産の原因になる可能性のあることは避けたほうが無難です。

妊娠初期のセックスの注意点

あと、女性の乳頭(乳首)を刺激すると子宮の収縮が起きるので、とくに切迫流産や流産の経験のある方、頸管無力症の経験がある方は避けたほうが無難です。

同じように、女性が絶頂感(イクという感覚)を感じても強い子宮の収縮が起きます。残念ですが、妊娠中はセックスにしてもマスタベーション(オナニー)にしても女性が絶頂感を感じる行為はおすすめできません。

逆にコミュニケーションのための優しいセックスは精神的にも安心感を与えますので、切迫流産などで医師から禁止されていない限りはとくに避ける必要はないと考えます。

流産や早産の最も多い原因は「感染」

妊娠中のセックスでいちばん注意すべきことは、できるだけコンドームを使って清潔に、膣内射精は避けることです。もちろん指を膣内に入れる場合もきれいに洗って、子宮の入口を強く刺激してはいけません。

なぜなら、流産や早産の最も多い原因は「感染」だからです。わかりやすくいうと、セックスなどで外から入ったばい菌が羊膜(赤ちゃんが入った袋)に感染して羊膜が破れたり(破水)炎症を起こしたりするのです。妊娠中のセックスは初期に限らず清潔を心がけてください。

妊娠前と生理前は似ている

予定月経の前に自覚症状で妊娠を知ることは難しい

予定月経の前に自覚症状で妊娠を知ることはほぼ不可能です。

妊娠初期の症状としてはつわりや胸の張りが代表的ですが、激しいつわりは胞状奇胎などの異常妊娠の可能性がありますので早めに産婦人科を受診しましょう。それ以外にもいろいろな異常妊娠や妊娠合併症があるので、妊娠が判明したらできるだけ早めに産婦人科を受診するように心がけてください。

妊娠初期のセックスは流産に気をつけてできるだけやさしく、清潔に心がけてコンドームを使うことと、乳首の刺激は避けること、絶頂感を感じるのは我慢するのが無難です。

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