「妊活」とインターネットで検索すると、サプリや酵素ドリンクなどによるダイエットが目白押しです。デトックスしてキレイな妊婦に!などと煽られて、ついついその気になってしまいそうですが、妊活中に行うダイエットは、注意が必要です。


ダイエットが必要なのはごく一部の人だけ

ただ痩せればいいわけではない

こんにちは、産婦人科医の西尾です。今回は妊活中に行ってほしくないダイエットについてお話しさせていただきます。

確かに、妊活のためにダイエットが必要になることはあります。特に、多嚢胞性卵巣症候群があり、肥満(BMI 25以上)となっている方は、体重を少し減らすことで、排卵率を上げることができます。

しかし、妊活のためにダイエットしていても方法を間違えると、逆に妊娠を遠ざけてしまう可能性も。ではどんなダイエットが妊活中には危険なのか、まとめてみました。

妊活中にしてはいけないのはこんなダイエット!

糖質制限ダイエット

いちごのパフェ
いちごのパフェ / ume-y

一時ブームになった、糖質制限ダイエット。最近第一人者の作家が急に亡くなったことでも話題になりました。糖質制限ダイエットは、妊活をする女性には絶対に行ってほしくないダイエットのひとつです。

理由はふたつあります。ひとつめは、脂質過多になることです。糖質を制限すると、エネルギーを得る方法はタンパク質と脂肪の摂取になります。

必然的に、タンパク質と脂肪は本来必要な量よりも摂りすぎることになります。特に問題になるのは脂質。摂り過ぎた脂質は体脂肪になるだけでなく、血管の中にも溜まり、動脈硬化の原因になります。動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞の、とても大きなリスクです。

妊活にも決してよい影響は与えません。日本糖尿病学会も、総エネルギー量をコントロールせずに糖質制限ダイエットを行うことに否定的な提言を出しています。

ふたつめは、胎児の主な栄養がブドウ糖であることです。妊娠中も糖質制限をしたいと考える妊婦さんの中には、「妊娠糖尿病=糖分・炭水化物をとらなければいい」と思い込んでいる人がいます。

しかし、実際はタンパク質と脂肪ばかりとっていても血糖は上がりますし、糖尿病にもなります。ヒトの体はタンパク質を崩してブドウ糖に変化させることが出来るため、ブドウ糖自体を制限しても血糖が上がらないわけではないのです。

むしろ、妊娠中に血糖が上がりやすいそもそもの理由は、「母体の血液の糖分を、へその緒を通して赤ちゃんに与えるため」です。

つわりが起こるころは、胎盤が出来上がっておらず、赤ちゃんは卵黄嚢から栄養を得ているので、お母さんが食べられずとも赤ちゃんは育ちます。

しかし、胎盤が出来た後はお母さんから流れてくるブドウ糖が赤ちゃんの主な栄養です。そのため妊娠後期になると、母体は自然に「糖分を赤ちゃんへ渡そう、自分のエネルギー源は脂肪分にしよう」として中性脂肪やコレステロール値が上昇します。

妊活時(妊娠前)から妊娠中に糖質制限をすることは、自分の血管や血液の質を悪くし、本来体が持っている赤ちゃんのための機能を無理やり抑え込むことにつながるのです。

急な体重減少を目指すダイエット

East Westmeath AC - 5KM Road Race and Fun Run 2014
East Westmeath AC - 5KM Road Race and Fun Run 2014 / Peter Mooney

ダイエットというと、「1週間でマイナス3kg!」と短期間での成果を求めてしまいがちです。しかし、絶食などで急激に体重を落とすことで、月経や排卵が止まることがあるのはご存じでしょうか。

体は飢餓状態になると、まず自分自身を守るために「省エネモード」に入ります。なるだけ代謝を下げ、いろいろなホルモンの分泌量も減らします。

女性ホルモンもそのうちの一つです。ややこしいですが、視床下部から分泌される「『女性ホルモンを出させるためのホルモン』を出させるためのホルモン」の量がまず減ります。

そのため下垂体から分泌される「女性ホルモンを出させるためのホルモン」が減少し、ついに卵巣から分泌される女性ホルモンがエストロゲン、プロゲステロンとも減ります。これでは生理や排卵は起きません。

体としては、「自分自身が危険な状態なのに、妊娠なんてとんでもない!」という状態になるのです。肥満だけでなく、極端な痩せ型も妊娠しづらいのはこのためです。妊活のためのダイエットなのに、排卵を止めてしまっては、妊娠から遠ざかってしまいます。

なお、このような状態に陥った場合は、まず体重を増やすことで生理と排卵が回復するか様子を見ます。それでも排卵機能が回復しない場合は、クロミフェンなどの排卵誘発剤を使用します。

トクホのお茶をがぶ飲み

缶入りヘルシア緑茶 / Healthya Green Tea
缶入りヘルシア緑茶 / Healthya Green Tea / kazuh

緑茶のカテキンが体脂肪を減らす、ということでトクホを取得した、にがーいお茶がありますね。確かにカテキンは体に良い働きもあるのですが、ふたつ注意しなければならないことがあります。

ひとつめは、カフェイン。現在の技術では、カテキンを抽出しようとすると同時にカフェインも抽出されます。高濃度のカテキンを謳うお茶の、カフェインの濃度は実はコーヒー並みです。「お茶だから」と油断しているとかなりのカフェインを摂取することになります。

ふたつめは、肝臓へ負担をかけること。普通のお茶から摂るカテキンでは特に影響はありませんが、高濃度のカテキンによる肝機能障害の報告があります。ダイエットするのは、あくまで妊活のため。自分の体を傷めてしまってはなんの意味もありません。

適正なダイエットを心がけて

時間をかけて、ゆっくり落とす

そもそも、妊活のためにダイエットが必要なのは肥満の人だけです。体重の5%程度(体重70kgであれば、3.5kg)を2か月以上かけてゆっくり落としていくのが理想的です。

標準体重の人が無理に痩せようとすると、上でお話ししたとおり無排卵になることがありますので行わないようにしましょう。

この記事は参考になりましたか?

を押すとランキングに反映されます
0

※会員登録やログインは不要です