妊娠が発覚してしばらくして、むくみが気にってきた人のために、対処法を解説します。妊娠中はむくみやすいカラダになります。今日は妊娠中のいろいろな「むくみ」とその解消テクニック、さらに特に注意が必要なむくみについてお話しましょう。


妊娠中のむくみについて教えて欲しい

ということで、今日は妊娠中のむくみについてお話しします

私は産婦人科医として、妊娠中の「むくみ」について相談をよく受けます。

妊娠中の「むくみ」は、放置してもよいものから危険なむくみまで様々です。そして、むくみの原因や解消方法もさまざま。そうなると妊婦さんとしては、どうすれば良いか分からないですよね。。。

そんな不明点が多い「むすみ」ですが、今回は「むくみ」の原因や注意しなければならないむくみについて、また、「むくみ」の簡単な解消方法をお教えします。

妊娠中のむくみとその解消法、危険なむくみの見分け方

「むくみ」とは

「むくみ」は医学的には「浮腫」(ふしゅ)といいます。

みなさんの目に触れるのは体の表面の「むくみ」で、下腿(膝より下の足)や足の甲、手、おでこなどによく見られます。これはわかりやすくいうと、皮下組織に水がたまった状態です。

むくんでいるところの皮膚を指で強く押すと、へこんだ状態のままになるので「浮腫が起きている」(=むくんでいる)ことがわかります。

どんなときに「むくみ」がおきるの?

病的な「むくみ」は心臓や腎臓が悪いと生じます。

生理的なむくみは、飛行機の中などで長い時間同じ姿勢をとっていたときや立ち仕事を続けていると起こります。また、夕方になると下腿(膝より下の足)がむくむことがよくあります。

生理的なむくみは時間が経つと消えていきます。夕方むくんでいても翌朝にはすっかりよくなっていますよね?

そのような「むくみ」は基本的には心配いりません。

妊娠中はなぜむくみやすいの?

妊娠中はホルモンの影響で、どうしてもむくみやすいカラダになっています。さらに妊娠中は胎児に酸素や栄養を運ぶために母体の血液量が増加します。これもむくみやすくなる原因です。

また、妊娠中は妊娠前に比べて運動量が減ることが多く、食欲も増えるので更にむくみやすいカラダになります。

衣服による不適切なしめつけ(特に下半身のしめつけ)もむくみの原因になるので、妊娠中はできるだけゆったりした服装を心がけましょう。

決して見逃してはいけない「とても怖い」妊娠中のむくみ

妊娠中の「むくみ」で一番怖いのは妊娠高血圧(妊娠中毒症)による「むくみ」です。これは放置しておくと胎児死亡や、最悪の場合は母体死亡につながります。

危険なむくみの特徴は、

  • 急にむくんで体重が増加する
  • 朝起きたときにも(ひどく)むくんでいる
  • 血圧が上がってくる
  • 異常に体がだるい

などです。

ご自身や母親が妊娠高血圧(妊娠中毒症)になったことがある人はさらに注意が必要です。心配なときは妊婦健診を待たずに主治医に相談しましょう。心臓や腎臓に持病がある方、糖尿病や甲状腺の病気がある方などのむくみも早めに主治医に相談してください。

妊娠高血圧(妊娠中毒症)の原因はなんですか?

妊娠高血圧(妊娠中毒症)の原因はよくわかっていません。

  • 高血圧や糖尿病、甲状腺疾患や肥満がある人には普通より多い確率で起きることがわかっています。
  • 遺伝の可能性も示唆されていますので、母親が妊娠高血圧の経験がある場合は注が必要です。
  • 初妊(はじめての妊娠)に多いこともわかっています。

しかしながら、多くの方は高血圧などの病歴がないのに突然妊娠高血圧を指摘され驚くことが多いようです。自分でわかる妊娠高血圧の症状はむくみと体重増加ですから、気になったら早めに主治医に相談してください。

どのくらいの妊婦が「むくみ」を経験するのですか?

妊婦さんのおよそ3割が「むくみ」を経験するといわれています。

妊娠高血圧(妊娠中毒症)の発症率はおおまかに言うと全妊娠の5%前後ですから、「むくみ」を経験する妊婦さんの6人中5人は生理的な(あまり心配のない)「むくみ」ということになります。

逆に「むくみ」が出ると6人に1人は妊娠高血圧(妊娠中毒症)の可能性があるということです。この数値を高いと見るか低いと見るかは個人差があるでしょうが、妊娠したらご家庭に1台は血圧計を用意しておくとよいと思います。

妊娠中の「むくみ」を解消するテクニック

妊婦健診などで病的な「むくみ」でないことがわかったら、むくみの解消方法はいくつかあります。

●むくみ解消法 その1

まず塩分のとりすぎに注意すること。これは妊娠高血圧(妊娠中毒症)の予防にも効果的です。1日7〜8グラムの塩分が理想とされていますがあまり気にしすぎる必要はありません。「塩分を取りすぎたな」と思ったら翌日は塩分少なめの食事にしましょう。塩分のことを気にしておくだけでもかなりの減塩につながるものです。

●むくみ解消法 その2

軽い運動をしてみましょう。ストレッチや散歩でOKです。余裕がある方は早歩きをしてみましょう。水中ウォーキングもおすすめです。妊娠後半になるとひざや足腰への負担も大きくなるので、浮力に支えられる水中ウォーキングは特におすすめです。

これらの運動は下半身のむくみが強い人には特に効果的です。ついでに、水中ウォーキングの後はしばらくのんびりと仰向けに水面にプカプカ浮いてみましょう。妊娠中のストレス解消に最高です。

●むくみ解消法 その3

ゆっくりお風呂に入りましょう。ぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。湯あたりしやすい(のぼせやすい)方はさらにぬるめのお湯がおすすめです。

半身浴がおすすめです。半身浴で好きな本を読んだり雑誌を見たり。最近は防水のスマホやタブレットでテレビ番組や映画を見る方もいらっしゃるようです。

ただし、妊娠中は湯あたりしやすく(のぼせやすく)なっていますので熱いお湯や温泉にあまり長くつかったりするのは控えましょう。

まとめ

妊娠中の「むくみ」は約3割の妊婦さんが経験

今日は妊娠中の「むくみ」についてお話ししました。妊娠中の「むくみ」は約3割の妊婦さんが経験する、ある意味ありふれた症状です。

多くの「むくみ」は軽い運動や入浴、衣服の締め付けを防ぐことや塩分制限でコントロールすることができますが、妊娠高血圧(妊娠中毒症)による「むくみ」だけは注意が必要です。「むくみ」の事をよく知って快適な妊娠生活を送りましょう。

最後に、もう一度妊娠高血圧(妊娠中毒症)について

やはり妊娠中の「むくみ」と聞いて、我々医師が一番恐れるのが妊娠高血圧(妊娠中毒症)です。妊娠高血圧は誰にでも突然起こる可能性のある病気で、前述したように原因はよくわかっていません。

ただ、早期発見によって重症化を防げる場合があります。重篤な結果になった例を多く見ている我々としては、出来る限り妊娠高血圧の兆候に早く気づいて病院を受診していただきたいのです。

そのためには今回のテーマの「むくみ」と「体重増加」は特に重要です。とくに異常な「だるさ」を伴う場合は注意が必要です。

あとは「血圧上昇」が最も重要な判断材料になりますので、妊娠を機会に血圧計を1台準備されてはいかがでしょうか。腕(上腕)に巻くタイプで、通販で5000円以内で売られているもので十分です。国内の有名メーカーのものを選ぶとよいでしょう。

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