不妊治療を高齢でチャレンジされている方への栄養学的アプローチ方法についてお伝えします。基本は、妊活に必要なベース栄養素を補給することです。今回は、高齢の方のためのアンチエイジング対策に必要な栄養補給を中心にご紹介します。


不妊症+高齢妊娠におすすめの栄養素とは

妊娠に必須の基礎栄養素+アンチエイジング対策

不妊治療をしたときの妊娠率加齢によって妊娠率が低下するのは統計学上の事実ですが、その理由は所説ありますが、卵の数の減少と卵巣の老化が原因とも言われています。だからと言って妊娠できなくなるわけではありません。

卵の数が少なくなったことは把握できるそうですが、その質までは把握はできないそうです。特に妊娠に重要なのは卵の「数」ではなく「質」だそうです。そうであれば、栄養からのアプローチ方法もまだあるはずです。

生活習慣の改善によって卵の質を改善したり、妊娠率を高めたり、卵巣の老化を遅らせることは可能です。高齢という理由だけで簡単にあきらめないでくださいね。自分の納得のいくまで、とことんチャレンジしましょう。出来ることはまだまだあるはずです。

不妊治療に必要な栄養素のフルコースは、年が若くても、高齢でも、どんな状態の方も同じです。子宮粘膜を健全にするオメガ3の脂肪酸、粘膜代謝を促進させるビタミンAや亜鉛、酸素を供給する鉄、すべての細胞の材料となるたんぱく質などが上げられます。

そこに、卵の質を改善するためのアンチエイジング要素を補強するために、糖質の過剰を控え老化の原因である糖化を防ぐとともに、卵子の老化(酸化)を防止してくれる抗酸化物質をたっぷりと補給しアンチエイジング対策を行いましょう。

高齢不妊でもアンチエイジング対策で子宮もお肌も若返る?!

お肌も子宮も…同じ細胞です

Ewa Women
Ewa Women / D-Stanley

今回は、子宮や卵巣のアンチエイジングに特化した栄養アプローチ方法をお伝えします。これらの栄養アプローチは、当然同じ細胞である肌や髪、爪などのアンチエイジングにもオススメです。子宮力と同様、女性力UPにも磨きがかかりそうですね。

抗酸化ビタミンとして知られるビタミンE

ビタミンEはもともと1920~1930年代に不妊のネズミの実験によって発見された脂溶性ビタミンです。別名「トコフェロール」とは、tocos(子どもを産む)、phero(力を与える)、ol(水酸基をもつ化合物の総称)という意味からきています。

現在ではビタミンEのもつ強力な体のサビ取り効果(抗酸化作用)が注目され若返りビタミンなどと呼ばれています。

アメリカのピッツバーグ大学の研究によると35歳以上の女性では、サプリメントによるビタミンEの摂取量が多いほど、妊娠するまでの期間が短いことがわかりました。

妊娠したい女性、特に卵子や卵巣の酸化が気になる女性には意識したいビタミンですが、サプリメントに頼ることなく、食事で補給できると良いですね。

ビタミンEが豊富な食材には、たらこ、めんたいこ、大根の葉、かぼちゃ、赤ピーマン、はまちなどがあります。

アンチエイジングとストレス対策のビタミンC

不妊症にはストレス対策も必要です。ストレスを低減させることが妊娠力を高めることにつながることは良く知られていることです。

ストレス対策を栄養アプローチで可能にしてくれるのがビタミンCです。ストレスに対抗する抗ストレスホルモンをつくるために、ビタミンCが必要なのです。

そのため、精神的、肉体的なストレスを感じている方はビタミンC豊富な果物を補給しましょう。また先ほどご紹介した抗酸化作用の高いビタミンEは、ビタミンCと一緒に存在することで、サビ取りをして疲れたビタミンEをもう一度甦らせてくれます。

細胞に酸素を運ぶ鉄はアンチエイジングにも

鉄は、各細胞に酸素を運ぶ働きがあり、酸素が細胞に配達されることでエネルギーを生み出すことが出来ます。そのため鉄が不足するとエネルギーが生み出されず、卵細胞が健全に成長するためのエネルギーが十分に供給されません。

また、鉄は活性酸素を消去する抗酸化酵素が働くためにも必要不可欠です。鉄が不足すると、卵子にダメージを与える活性酸素を消去する抗酸化酵素の働きが低下し、卵子の老化に薄謝をかけてしまいかねません。

特に女性は毎月生理があり、一回の生理で鉄が平均30mg失われてしまうと言われています。30mgの鉄を補給するには、動物性食品に含まれる鉄の吸収率は10%~30%のため、30%の吸収率だとしても鉄100mgを補給する必要があり、これはヒレ肉に相当すると4000g(4㎏)のヒレ肉を食べる必要があるということになります。

男性以上に肉(牛肉や羊肉、レバー)や魚(血合いや赤身)、モツ系(砂肝、はつ等)などを積極的に食べましょう。女性こそ肉食であるべきです。

植物のちからを借りて酸化に打ち勝つファイトケミカル

野菜や果物、豆、種子類などの植物は動くことが出来ません。そのため、色や香り、苦みや辛みなどを自ら備え持つことで紫外線や害虫、外敵から身を守ります。

このような成分をファイトケミカルと呼び、その力は人体にも良い影響を与えてくれます。

よく知られているポリフェノールはファイトケミカルの一種で、ブルーベリーや赤ワインに含まれるアントシアニンや緑茶のカロテン、トマトのリコピン、大豆のイソフラボンなど数千種類ものファイトケミケルが発見されていますが、まだまだ発見されていない植物のチカラが存在していることでしょう。

このファイトケミカルの働きを借りて私たちの体は酸化から身を守ることが出来ます。

過剰な活性酸素は卵子や卵巣、子宮の酸化(老化)につながり、ひいては不妊症などにも影響がないわけではありません。抗酸化力のあるファイトケミカルたっぷりの野菜や果物をを積極的に補給して活性酸素に負けない身体作りをしましょう。

高血糖に注意!グッドカーブな食事

高血糖は、血糖値が高くなっている状態のことで、生殖ホルモンのバランスを悪化させ、排卵障害や卵質低下を招くことがあると言われています。

さらに、最近は糖化が不妊の原因のひとつであることも示唆されています。糖化とは、糖質とたんぱく質が結合し、様々な反応を経てAGEsという物質に変化します。このことを糖化と呼び、老化や不妊症の原因の一つとして考えられている物質です。

糖尿病のように血糖値の高い状態だけでなく正常な血糖値であっても加齢に伴ってさまざまなタンパク質の糖化反応が進行することが確認されているため、炭水化物の摂り過ぎには注意したいものです。

長年不妊症に悩む女性が、ホルモン剤をはじめとする色々な治療を試みても効果がなかったのに、食事の内容と食事方法を変えたら妊娠したという話は少なくありません。

白米や白いパン、麺やパスタ、うどんを食べるときは食物繊維(野菜や豆、果物など)を先に食べ、炭水化物を食べる時はたんぱく質と一緒に食べることで急激な血糖値の上昇を防ぐことが出来ます。

また、急激に血糖値を上昇させないために炭水化物の種類を選ぶことが「グットカーブ」と呼ばれる食事法です。白米を玄米や雑穀米に、小麦粉を全粒粉やライ麦にする等、炭水化物を選び方もポイントのひとつです。

とはいえ、まずは清涼飲料水や野菜ジュース、栄養ドリンク、チョコレートやアイス、和菓子などの甘いものを控えるのが先決です。

あきらめない!人のためのおすすめレシピ3品

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鶏はつといろいろ野菜の炒め

レシピはこちら

毎月の生理がある女性は特に鉄不足に陥りやすく、細胞が酸欠状態になると妊娠どころではありません。鉄分補給にいつもおすすめしているのはレバーです。

しかしレバーが苦手な方も多いと聞きます。そんな方にお勧めの食材は鶏はつ(心臓)です。鶏はつ(心臓)には、吸収率の高いヘム鉄がたっぷりと含まれています。レバーの苦手な方で鉄をたっぷり補給したい方にはピッタリです。

鶏はつと一緒に、アンチエイジング素材である野菜を加えて炒めましょう!

リンクのレシピは、ごぼう、チンゲン菜、人参、きのこを加えていますが、旬の野菜ならばどんな野菜もおすすめです。

鉄の吸収をUPしてくれるビタミンCが豊富な野菜は、ピーマンやパプリカ、ブロッコリーや菜の花です。人参、南瓜、ニラ、ほうれん草等の色の濃い野菜を補給すればファイトケミカルもたっぷり補給することができます。

私のおすすめは、鶏はつを黒こしょうで炒め、サラダにトッピングする鶏はつサラダです。ドレッシングに酸味を利かせてさっぱりと、歯ごたえが楽しくいつものサラダがボリュームUPします。

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サラダ豆ごまめひじきご飯

レシピはこちら

ファイトケミカルたっぷりの豆に、ミネラル豊富なひじきとごまめを加えた、栄養満点のご飯をご紹介します。豆にはファイトケミカルの他に、食物繊維がたっぷり含まれていて、血糖値の急激な上昇も防いでくれます。

主食であるご飯は毎日のこと。この毎日口にする食べ物の栄養価をどれだけUPすることが出来るかに、栄養補給の秘訣が隠されています。たまに食べたのでは意味がありません。

このレシピでなくても、炊きあがった玄米ご飯にサラダ豆や煮干しの粉を混ぜ合わせた即席混ぜご飯や、スープ、お味噌汁、サラダ、おやつ等、毎日の食事にいつでもどんな料理でも豆や海藻、小魚などを日常的に取り入れることをおすすめします。

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湯切り不要の和風全粒粉パスタ

レシピはこちら

最近スーパーでも見かける全粒粉スパゲティ。精製された小麦粉ではなく、小麦の表皮や胚芽、胚乳をすべて粉にした全粒粉を使用したスパゲティです。

白米と玄米の違いのように、小麦粉と比較して食物繊維や鉄、ビタミンB1が3倍ちかく豊富に含まれていて、血糖値の上昇も緩やかなのでAGEsが気になる女性におすすめです。

せっかく良い食材が出回っているのに使い方が分からないのは、もったいない!ということで、今回全粒粉パスタを使用したメニューをご紹介します。

海藻の海苔、一番効率の良いタンパク質源である卵などを使用していて、妊活におすすめな基本の栄養も補給することが出来そうです。

このレシピは少し野菜が少ないので、パスタを茹でるのと同時にブロッコリーや人参などを加えて緑黄色野菜も一緒に補給できるとさらにおすすめ度UPです。

高齢の不妊では何をどのように食べるかが大事

美味しく、楽しく、天然素材を

このコラムで私がお伝えしたいのは、何を食べるか?だけでなくどのように食べるかがとても重要だということです。

なるべく多くの食材を、少しずつ、まんべんなく食べること。例えば、野菜はもちろん食べて頂きたいのですが、やはりコンビニや外食では新鮮な野菜や果物を期待することは出来ません。食材や食品を加工すればするほど、本来的(自然)に含まれているさまざまな栄養素の量やバランスが壊れてしまいます。

今回おすすめした栄養素や「妊娠するために取り入れたい7つの栄養素を含んだ妊活レシピ」でオススメした妊活のためのベースの栄養素は、一つや二つではなく、たくさんの栄養素がそれぞれの役割を持ちながら、相互に働くことで、私たちの体を健全に保ってくれていることがお分かり頂けると思います。

1か所を修正すればそれで改善できるようなたんじゅんなものではなく、ビタミンミネラルの不足のそれ自体が、更に連鎖反応のごとく関わりあっているということです。

これらの栄養素を網羅して補給しようとすると、何か一つの食材に頼ることは出来ません。様々な食材をなるべくそのままの状態で補給することが、一番の栄養補給の秘訣となりそうです。

また、食材の栄養素をあますことなく、丸ごと補給するには、白米よりも玄米と同様、豚肉、鶏肉、牛肉だけでなく、魚や野菜をも、丸ごと食べることを意識することが大切です。

スーパーでは、もも肉、むね肉、ロースやバラ肉などが幅を利かせて販売されていますが、レバーを含めたホルモン、手羽、皮、ささみ、ミミガー、豚足、心臓、腎臓など等、頭から尻尾、足先まで食べることで、その食材の丸ごとの栄養を補給することが出来るのです。

サプリメントや薬に高いお金を支払うならば、少し高くても安心できる食材を取り寄せるのも方法です。

妊娠を考えている女性は、不妊ということではなく「妊娠」にはこれだけのビタミンミネラル、たんぱく質や炭水化物、脂肪などの補給方法の影響が直接・間接的に関わっていることを知り、日常的な食生活で、食事からこれらの栄養素が十分に摂取できる体内環境を作ることを考えていただければと思います。

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