晩婚化が進む今日、未婚の女性に向けた新たな治療法として「卵子凍結保存」が用いられるようになりました。これにより、若いころに採取した卵子を凍結し、将来妊娠したいときまで保存できるのです。それでは卵子凍結保存は一体どうやって行えば良いのか・どのくらいの費用がかかるのか・どんなリスクがあるのかなどを解説していきます。
未婚女性のための治療法があるって本当?
卵子凍結保存のノウハウ
卵子凍結保存という言葉を聞いたことはありますか?これは、未婚の女性が体外受精で卵子を凍結し、将来妊娠したいときまで保存することを指します。
卵子凍結保存をするには必ず体外受精を行っている医療機関に受診しなければならないのと、高額な医療費がかかります。
また、そこまでのリスクを負って必ずしも妊娠できるかどうかは分かりません。それでは一体どんな女性が卵子凍結保存に向いているのか詳しく解説していきます。
徹底解説!卵子凍結保存とは?
どんな人が卵子凍結保存に向いている?
1.病気などで放射線治療による生殖細胞への影響を恐れる人
悪性新生物(癌)は女性の死因第一位にもなっているくらい多くの女性を苦しめています。中でも子宮癌に関しては死亡率も高く、放ってはおけない病気の1つです。
万が一、子宮癌になってしまっても早期の発見ならば完治する確率は高いです。しかし、完治するには放射線治療を行わなければならず、少なからず生殖細胞への影響がありえます。
そういった女性のために卵子凍結保存は将来妊娠を考えている女性への希望でもあるわけなのです。
2.未婚の女性が将来のために予め準備をしたいと考えている人
従来、卵子凍結保存とは1でも挙げたように、病気などの理由で卵管切除する人が救済処置として行う治療法でした。
しかし、晩婚が進むにあたり、高齢出産が増えてきた今日では、新たな治療法として卵子凍結保存を若いころに行い、将来のために備蓄する女性が増えてきました。この活動のことを「卵活」と呼びます。
卵子凍結保存のメリット・デメリット
メリット
- 染色体異常の確率を低下させることが可能
高齢出産とは35歳以上の女性が妊娠した際に用いられる表現ですが、高齢出産による影響で流産率・早産率・死産率が高まります。
年齢が上がるに連れ確率は高くなり、そういった女性のための対処法として卵子凍結保存がとても効果的と言われています。
例えば結婚した年齢が40歳を超えていたとしても卵子凍結保存によって移植を行えば卵子だけは保存をした時のまま使用することができます。
若い卵子は受精率も高いので、妊娠する確率・出産する確率も期待できるでしょう。
デメリット
- 受精できるかは不明
受精卵を保存するならまだしも、卵子凍結だけでは受精できるかは実際行ってみなければわかりません。
また、たとえ受精しても妊娠できるかどうかはまた別の問題となりますので、ある程度のリスクを背負う必要があります。
- 多額の費用がかかる
卵子凍結保存は保険が適応されないので、全額自己負担になります。費用は病院によって異なりますが、だいたいの目安として30万~50万と予想しておいてください。
(参考 https://www.sugiyama.or.jp/unfertilizedegg/index)
- 肉体的負担が大きい
卵子凍結保存をするには体外受精でも行われる手法をとらなくてはなりません。卵子を育てるための薬の影響で卵巣が腫れることもあり、重症化すると命にも関わります。
また、いざ卵子が育ちそれを採取するための採卵は麻酔を使用したり出血もあります。そういった意味で卵子凍結保存は肉体的負担が大きいと言えるでしょう。
卵子凍結保存をするにあたって
それでは卵子凍結保存をするにあたってどのような流れで行うのかを解説していきます。
- 卵子凍結保存をするまでの流れ
1.病院を探す
卵子凍結保存を行っている病院は全国でも少ないです。その中でも自分にあった病院を見つけることが大切です。
卵子凍結保存をするには提携先の病院での説明会があるはずなのでまずはそういったところに参加してみてはいかがでしょうか。
2.提携先の病院での治療方針を決める
Inauguración del Hospital Municipal de Chiconcuac / Presidencia de la República Mexicana
自分にあった病院が見つかればこの先は卵子凍結保存を行うにあたってのプロトコールを決めます。
まずは血液検査を行って自身の状態を調べてから、卵子を育成するための排卵誘発剤の種類を決めていきます。この時点で卵子凍結保存にかかる費用が大方判明します。
3.誘発開始
誘発とは、卵子凍結保存のために多く卵子がつくれるように誘発剤を使用します。
しかしこれは必ずしも使用しなければならないものではなく、自然に卵胞を育てたいのであれば意思を尊重してくれる病院も多いでしょう。
卵胞が育てばいよいよ採卵です。
4.採卵及び凍結
採卵とは、卵巣内にある卵子を外部に取り出すことを指します。採卵するには部分麻酔及び全身麻酔を使用する機関が多いですが、最近では無麻酔で行うところも増えてきています。
採卵が無事に済めばとりだした卵子を凍結する流れとなります。
- 卵子凍結保存を使用して妊娠するまでの流れ
1.凍結卵子の融解、採精
卵子凍結保存した卵子を使用することになれば今度は融解をしなければなりません。無事に融解できても卵子が生き残れないこともありますので予め心の準備をしておくのが大切です。
また、融解した卵子は受精をするために男性は採精をする必要があります。
2.体外受精
Microscope stage / Iqbal Osman1
融解した卵子と採精した精子を用いて体外受精をする必要があります。受精する確率は個体差もあるので実際行ってみなければ分かりません。無事に受精が完了し、細胞分裂が開始したらいよいよ胚移植です。
3.胚移植
胚移植とは、体外受精した受精卵を体の内部に戻すことを意味します。2で受精した卵を体内に戻した後は妊娠しているか否かを判明する判定日まで待つのみです。
判定日は胚移植を行ってから1週間から10日前後が一般的です。
4.妊娠
判定日で妊娠が確認できたのならその後は通常の妊婦さんと同じように過ごすことになります。以上が卵子凍結保存をした後の流れです。
卵子凍結保存で可能性を広げよう
晩婚が進む今日だからこその治療法
卵子凍結保存は従来病気の女性のための治療法として用いられていましたが晩婚が進む近年では、老化による不妊に対しても治療が行われるようになりました。
将来のために事前に卵子を凍結することを「卵活」と称するまで浸透し、30代や40代だけでなく20代の女性まで幅広い層がこの卵活を行うまでになりました。
卵子凍結保存をしたからと言って確実に妊娠できるわけではありませんが、自身の可能性を広げたい人にとても有効的でしょう。将来のために卵子凍結保存を考えてみてはいかがでしょうか。