不妊治療の一つに「体外受精」があります。実は、2014年に国内で行われた体外受精により、過去最多の4万7322人が誕生したことが日本産科婦人科学会のまとめでわかりました。一般的になっている体外受精ですが、いったいどんな治療法なのか、どんな場合に行えるのか、費用やリスクについてもご紹介します。


体外受精は高度不妊治療の一つ

約21人に1人が体外受精で生まれている?

2014年に国内で行われた体外受精により、過去最多の4万7322人が誕生したことが日本産科婦人科学会のまとめでわかりました。なんと、約21人に1人が体外受精で生まれた計算になります。

国内の体外受精児は1983年に東北大で初めて生まれて以来、累計で43万1626人と、とてもメジャーな不妊治療となっています。

出典 ヨミドクター

体外受精とは

現在の不妊治療の中で、高度な治療法には体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)があります。

不妊治療には、1)排卵の時期に合わせてセックスを行うタイミング法、2)子宮に直接精子を注入する人工授精(AIH)があります。これらを行っても結果が出ない場合や、原因が分からない不妊症の場合は体外受精などが必要となります。

不妊治療は精神的にも肉体的にも辛いことが多いので、患者にとって必要な治療をきちんと選定できる病院を選ぶことも重要なポイントとなります。

体外受精とはどのような治療なのか

体外受精の基礎知識を知ろう

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体外受精とは子宮内で行われる卵子と精子の受精を、体の外で行い、受精・分割した胚(卵)を子宮内に移植する方法です。

世界初の体外受精に成功したのは1978年。それから30年が経ち、現在は医学の進歩もあり高度生殖医療は体外受精だけでなく顕微授精・凍結融解といった技術も進歩しています。

そのため、体外受精での出生児は年々増加しています。

体外受精に適応する症状は

妊娠するためには、卵子と精子が出会わなければなりません。しかし、何らかの原因で卵子と精子が合うことができない場合は、ピックアップ障害となり体外受精の適応となります。

ほかには年齢が35歳以上、子宮内膜症、卵巣周辺の炎症、卵管閉塞、クラミジア抗体陽性などにより卵子の質が下がっている、もしくは卵管異常の場合は体外受精の適応となります。

体外受精の手順について

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体外受精の治療手順は次のようになります。

  1. 排卵誘発
    月経周期や排卵の有無に配慮しながら、排卵誘発を行います。
  2. 採卵
    膣から超音波を使用して、卵胞を確認しながら、細長い採卵針で卵胞を刺し、卵胞液を採取します。
  3. 採精
    採卵当日に、採取します。採取場所は病院によって異なりますが、自宅や病院内にある採精室となります。また病院によっては事前の採取で精子を凍結させておくことが可能なところもあります。

体外受精の流れ

卵子と精子を採取した後の流れとなります。

  1. 受精~分割
    採取した卵子と精子を合わせ、受精させます。分割して胚になるまでは2~3日です。
  2. 胚の移植
    受精し、正常に育った胚を子宮内へ移植します。このとき、移植する胚数を多くすると、当然ですが妊娠率は増加します。しかし多胎妊娠の可能性も高まることから、日本産婦人科学会の会告により移植胚数は原則3個以下となっています。
  3. 妊娠判定
    尿検査もしくは血液検査で判定します。血液検査の方が正確にわかるため、血液検査を用いる病院が多いです。

体外受精のリスク

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体外受精を決めたとき、最も気になるリスクについてご説明します。

  • 採卵時のリスク

膣から採卵針を通し、卵胞に針を刺すため、出血のリスクがあります。

  • 卵巣過剰刺激症候群

排卵誘発剤の使用により、卵巣が腫れたり、血液がドロドロになったり、腹水や胸水がたまる症状が出ることもあります。

  • 双子(多胎)

妊娠率を高めるため、1度の体外受精で2~3個の胚を移植します。そのため、自然妊娠よりも15%ほど多胎率は高くなります。

  • 流産

自然妊娠の場合は約10~15%に対して、体外受精の場合は約20~25%となっています。

ごくまれに起こりうるリスクについて

2つの胚が融合し、遺伝子的には2人の人間が1人となる可能性があります。

2卵性双胎で胎児の造血細胞が混ざってしまうために生後の血液型がはっきりしないので、緊急時の医療現場に混乱を起こす可能性があります。

どちらも、ごくまれなケースではありますが、このような生体上のリスクがあることもあるのです。体外受精を行う際は覚えておいて下さい。

体外受精の費用

体外受精は保険適応外となるので、すべて自費となります。また病院によって料金も異なりますが、数十万円~となっているところが多いです。

自治体によりますが特定不妊治療助成金があり、体外受精を受ける人のための費用の助成をしています。

助成対象は年齢や治療内容によって異なるので、県・市町村窓口にお問い合わせ下さい。

病院選びのポイントとは

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一般不妊治療を行い、それでも妊娠が確認できない場合は、医師と相談の上で高度生殖医療に進むか判断します。

その際は病院の治療方針と自分たちのライフスタイルや生活状況にマッチした、病院を選ぶことが大切となります。

  • カウンセリングやインフォームドコンセントがきちんと整っている
  • 採卵や治療は土日祝日など問わず行っている
  • HPなどで病院の情報配信を積極的に行っている(口コミが集まりやすい)

治療方針には使用する薬剤の種類、医師の経験なども含まれます。必ず夫婦で病院見学に行くことをオススメします。

不安が多い体外受精での治療方法

体外受精児の出生は年間47000人を超えている

不妊治療は、場合によっては長引くことも多く、辛い思いをしてしまう人も少なくありません。しかし、体外受精で誕生する子どもは年々増加傾向にあります。赤ちゃんを望むカップルにとって、不妊治療方法をより良く選べるようになっている証拠でもあります。

体外受精を望む際は、医療的なリスクについても理解した上で治療に臨んで欲しいと思います。

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