不妊検査、不妊治療は女性だけでなく、男性にも受けていただくべきものです。女性の不妊検査とはまったく違いますので、どんな検査・治療をするのか、説明させていただきます。


不妊の原因の約半分は、男性にあります

男性因子の検査、治療はとっても大事

産婦人科医の西尾と申します。

不妊治療、というと女性が中心のようなイメージがあるかもしれません。実際、産婦人科へ不妊治療を希望して来られる方の多くが女性だけで受診されます。パートナーとの受診を促すと、気まずそうにしたり、「多分来てくれないと思う…」という方も。

でも、1996年のWHO(世界保健機関)の発表では、不妊症の原因が「男性側のみ」「男女とも」にあるのは合わせて48%です。「女性側のみ」は41%であり、女性だけが不妊治療を頑張っても、半数以上は妊娠に至らないことがご想像いただけると思います。では具体的に男性不妊についてみていきましょう。

男性不妊の種類、検査、治療内容、費用とは

1)男性不妊の種類

wet micrscopy sperm
wet micrscopy sperm / Iqbal Osman1

男性不妊の90%が精子を作る機能の異常と言われています。しかし半数以上は、なぜ精子を作る機能が落ちているのかわかりません。精索静脈瘤(逆流して留まった血液で陰嚢の中が温まり、良い精子が作られにくくなる)、染色体異常などの可能性もあります。他には、精子を運ぶ通路の異常、炎症、逆行性射精(膀胱のほうに精液が出てしまう)、勃起不全などがあります。

2)男性不妊の検査

A) 精液検査

精液の量、精子の数、そのうち元気に動き回る精子の数、奇形率、白血球数などを調べます。精子を採取するのは病院の採精室か、自宅でもかまいませんが、その場合は保温や移動にかかる時間に注意してください。同じ男性から採取したものでも毎回結果は異なるので、複数回検査していただくこともあります。無精子症(精液の中にまったく精子がない)、乏精子症(精液の中に精子はあるが、数が少ない)、精子無力症(精子の数は普通だが、元気に動き回るものが少ない)などの異常がわかります。

B) ホルモン検査

血液検査でLH(黄体形成ホルモン)、FSH(卵胞刺激ホルモン)、テストステロン(男性ホルモン)、プロラクチンをチェックします。LH、FSHといったホルモンはご自身も検査したことがある、という方も多いと思います。女性だけでなく、男性からも精巣を刺激するために出ているホルモンなんですよ。

C) 染色体検査

常染色体、性染色体の異常がないか調べます。例えば、クラインフェルター症候群といって、X染色体が一本多い方がおられます。

D) 超音波検査

精索静脈瘤などがないか確認します。

E )精管造影

閉塞性無精子症(精子の通り道が閉塞し、精液中に精子がない)のとき、どこが閉塞しているのかを調べるために造影剤を注入して行う検査です。

F) 精巣組織検査

無精子症の方に行う検査です。精巣の一部を取って、顕微鏡で見ます。精子はあるか、ないのであればどの工程までなら作られているのか、などを検査します。

3)男性不妊の治療内容

Doctor Damon
Doctor Damon / Damon Sacks

A) 薬物療法

男性ホルモンであるテストステロンを直接補ったり、ビタミンや漢方薬を使用したりします。保険がきくものときかないものがあります。しかし薬だけで妊娠に至ることは少ないので、あくまで人工授精、体外受精や顕微授精の補助として行うことが多いです。

B) 手術

精索静脈瘤を取り除いたり、閉塞した精子の通り道を作りなおす手術などです。半数くらいが術後に精液検査の結果が改善するという報告があります。

C) カウンセリング

特に勃起不全は、タイミング法での「義務的な性交渉」が原因となることがあります。薬物療法と並行して、カウンセリングを行うことがあります。

D) 生殖補助医療技術

薬物療法、手術療法を行っても精液所見が改善しない場合は、元気な精子を選んで人工的に受精させ、子宮に戻します。体外受精といってシャーレの中で卵子と出会わせて受精させる方法と、顕微授精といって卵子の中に細い針を刺して精子をひとつ注入する方法があります。無精子症の場合は、精巣から精子を吸引したり、切開することで精子を得ます。ただし、精巣の中に精子がまったくない場合は妊娠することは困難です。

4)男性不妊の費用

Japanese Yen
Japanese Yen / bfishadow

保険がきくものと、きかないものがあります。薬物療法、手術の一部は保険がききますが、体外受精、顕微授精は保険外診療にあたりますので、病院によって治療費が変わります。

妊娠するかどうかにかかわらず1回あたり20万から50万など高額ですので、必ずかかっている病院に確認するようにしましょう。また、自治体からの助成金もありますので、ホームページでチェックしてください。女性が40歳未満かどうかで助成の回数が違いますのでご注意を。

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男性不妊について説明させていただきましたが、いかがでしたか?

諸外国では不妊治療はパートナーと受診するのが当然のこととされています。日本でも男性不妊のことがもっと浸透し、一緒に受診してくれる男性が増えるといいなと思います。

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