産婦人科氏が事実を語ります!タバコの煙に含まれるものといえば、ニコチン、ヒ素、カドミウムなど、有害なものばかり。妊婦さん本人がタバコを吸わなくても、旦那さんが妊婦さんの前で吸っていると赤ちゃんに影響があるのです。


旦那さんがタバコを吸う妊婦さんは要注意

自分が吸わないタバコでも、害はあります

こんにちは。産婦人科医の西尾です。今回は妊娠中のタバコの害についてお話しさせていただきます。

日本人男性のうち喫煙者は減少傾向とはいえ、旦那さんがタバコを吸っているという妊婦さんもまだまだ多いと思います。自分が吸っていないからと、旦那さんのタバコを甘くみていてはいけません。

妊娠中は旦那さんのタバコも危険

そもそもタバコは何がいけない?

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タバコは百害あって一利なし。タバコの煙にはたくさんの有害物質が含まれています。これらの有害物質はニコチンやタール、一酸化炭素、窒素化合物、ホルムアルデヒド、ベンゼン、ヒ素、カドミウムなど数千種類に及びます。

タバコの害は発がん性だけではありません。たとえば、ホルムアルデヒドはシックハウス症候群の原因物質のひとつで粘膜を刺激します。

ヒ素は強い毒性を持った物質で、主に消化管を傷めます。和歌山カレー事件で話題になったのを覚えている方もいることでしょう。カドミウムは4大公害のひとつであるイタイイタイ病の原因物質で、蓄積すると腎臓を傷めます。

タバコの煙の9割は目で見ることができません。こんなにたくさんの有害物質が、煙になって広い範囲にまき散らされるので、周りの人も知らないうちに吸ってしまっているのがタバコのさらに怖いところです。

妊娠した女性がタバコの煙を吸うと…

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赤ちゃんとママは胎盤、へその緒でつながっています。お母さんが取り込んだ酸素やブドウ糖はこれを通って赤ちゃんに届きます。

しかし妊婦さんがタバコを吸うと、体内に吸収されたニコチンが血管をぎゅっと収縮させます。へその緒は3本の血管そのものであり、胎盤だってとても血管の豊富な臓器です。

つまり、妊婦さんがタバコを吸うことで、胎盤やへその緒の血流が悪化します。さらに煙に含まれる一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンという酸素の運搬係とくっつき、ヘモグロビンが酸素を運べなくしてしまいます。

妊婦さんがタバコを吸うことは、大人にとって首を絞められるような苦しみを、赤ちゃんに与えることなのです。

タバコの煙が胎児に与える影響

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まず、流産や早産の危険性が上がります。タバコを吸わない人でも5%程度の妊婦さんは早産になってしまいますが、タバコを1日1箱以上吸う妊婦さんのうち、25%は早産になります。吸わない人の5倍です。無事に分娩に至る場合でも、低出生体重児になる確率は高くなります。

それだけではありません。まだ赤ちゃんがおなかにいるのに胎盤がはがれてしまう常位胎盤早期剥離(胎児の死亡率は50%以上!)や、分娩時の大出血の原因になる前置胎盤も、タバコによって起こりやすくなることがわかっています。

旦那さんのタバコもだめ?

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タバコの煙は大きく分けて主流煙(吸っている本人が吸い込む煙)、副流煙(タバコの火がついた方から出てくる煙)、呼出煙(タバコを吸った人の呼気に含まれる煙)に分けられます。旦那さんのタバコで問題になるのは、副流煙と呼出煙です。

副流煙はアルカリ性のため、粘膜を刺激します。のどがイガイガしたりするのはこのためです。また、実は主流煙よりも副流煙のほうが、有害物質の量が多いものもあることがわかっています。

厚生労働省が公表しているデータによると、副流煙に含まれるホルムアルデヒドは主流煙の14倍、2-アミノナフタレンは8.8倍、ヒ素は5.4倍です。

「うちの旦那さんはタバコを吸うけど、換気扇のそばやベランダで吸ってくれるから大丈夫」と思っていませんか? でも、家に戻って数分間は吐き出す息から主流煙が吐き戻されています。外で吸ったから大丈夫なわけではないのです。

旦那さんの喫煙が家族に与える影響

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受動喫煙で吸い込むニコチンの量は、自分が吸う場合の1/3から1/5と言われています。つまり旦那さんが3~5本吸うと、自分が1本吸ったのと同じくらいの影響を受けるのです。自分が吸わなくても、上でお話ししたような悪影響が出てくる可能性があるのです。

岡崎市は以前、3歳児を対象として受動喫煙についての調査をしています。受動喫煙の程度は尿中のコチニン(ニコチンの代謝物)を測定することで調べることができます。

この調査では、家族に喫煙者がいない3歳児の尿中コチニン濃度は平均0.7㎍/Lでしたが、家族に喫煙者がいる3歳児の尿中コチニン濃度は平均2.39㎍/Lと、3倍近い値が出ています。受動喫煙によって知らず知らずのうちにニコチンを摂取してしまっていることがわかります。

また、喫煙者のいる家庭では、乳児突然死症候群(SIDS)の確率がそうでない家庭に比べて高くなることもわかっています。

そのほかにも、喫煙者の夫を持つ妻はそうでない人に比べて肺がんや乳がんになりやすいというデータもあります。

妊娠した女性にとって受動喫煙も十分危険

夫婦そろって禁煙を!!

自分が吸わなくても、旦那さんのタバコの煙を受動的に吸うことによって、妊婦さん自身にも、おなかの赤ちゃんにも害があります。妊娠したら夫婦とも禁煙しましょう!

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