ようやく妊娠5ヶ月(妊娠16週~19週)の安定期といわれる時期に入り、ほっとした途端、今度はお腹が痛い…ひょっとして流産? この時期に起こる腹痛のうち、よくある原因についてお話しさせていただきます。


安定期なのにお腹が痛いなんてことあるの?

ただ「胎盤ができました」という意味だと思っておきましょう

産婦人科医の西尾と申します。今回は妊娠5か月の腹痛についてご説明します。

妊娠5ヶ月は安定期と呼ばれ、体調が安定してくる頃といわれています。多くの芸能人が妊娠を発表するのもこの頃ですし、「安定期のうちに旅行に」なんて周りのママから勧められたりします。

実際妊娠16週は胎盤が完成するころであり、つわりがなくなり、流産の可能性もそれまでより少なくなります。

でも、「ここまでくれば何にもありません、安心です!」というお墨付きをもらったわけではありません。体調が悪くなったり、お腹が痛くて急に病院に行く可能性があることも頭の隅に置いて過ごしてください。

妊娠5ヶ月に起こる腹痛の原因6つ

1.便秘

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-1 / Emery Co Photo

妊娠初期から便秘に悩まされる妊婦さんは多いものです。妊娠前は便秘体質でなかった人も、妊娠によってプロゲステロンが大量に分泌されることで便秘しやすくなります。

対処としては酸化マグネシウムという、便を軟らかくする薬の内服です。市販の下剤には子宮を収縮させるダイオウなどが含まれていることもあるので、必ず病院で処方してもらいましょう。妊婦健診の時に言うと処方してもらえます。

2.子宮収縮

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-19 / Emery Co Photo

いわゆる「お腹が張る」という状態です。初めての妊娠だとよくわからないという方も多いですが、膨満感ではなく、下腹部がきゅーっとする感じの腹痛があります。

「おしっこに行きたいけど出ない感じ」とおっしゃる妊婦さんもいます。痛みは30秒くらいでいったんよくなります。何にも異常がなくてもたまに張ることはあります。安静にすると張らなくなるのであれば様子をみてよいでしょう。

1時間に何度も張る、規則的に張る、安静にしていてもよくならないというときは、次に挙げる切迫流産や流産の可能性がありますので病院を受診しましょう。

3.切迫流産

Voila
Voila / TajaTaja

安静にしていてもお腹の張りがよくならないときや、出血があるときは切迫流産の可能性が高いです。必ず病院へ連絡しましょう。

子宮の収縮を抑える薬(塩酸リトドリン)は妊娠16週から使えます。飲み薬で落ち着かなければ、入院して子宮収縮を抑える薬を点滴します。お薬を使っているからと安心して動き回ったりせず、なるだけ安静にしていてください。

4.流産

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leah / teresaaaa

妊娠5ヶ月になって胎盤が完成して流産の可能性が減ったといっても、まったくなくなるわけではありません。日本の統計では後期流産(妊娠12週~22週未満の流産)の確率は2%です。これは平均値で、母体の年齢が高いほど確率も高くなると言われています。

流産にいたる原因は、子宮の出口が知らないうちに開いてしまう頸管無力症や、子宮の中の感染によるものが多いですが、妊婦さんの喫煙もリスクの1つです。

なお、赤ちゃんが子宮内にいるのに胎盤がはがれてしまう、常位胎盤早期剥離は妊娠32週以降に多く、妊娠16週~妊娠19週ではほとんどみられません。

むしろ胎盤は未熟で剥がれにくい傾向にあります。しかし外傷で起こることもあるので、交通事故などで腹部を打って腹痛が起こった場合は、必ず病院を受診しましょう。

5.牽引痛

Community Health Volunteers Ensure Maternal Health
Community Health Volunteers Ensure Maternal Health / Bread for the World

子宮はお腹の中で、靭帯と呼ばれる強い組織でくっついています。子宮を支える靭帯には円靭帯、膀胱子宮靭帯、基靭帯、仙骨子宮靭帯があり、妊娠によって子宮が大きくなると特に円靭帯が引っ張られて、痛みが起こります。

妊娠5ヶ月ごろに多い腹痛です。左右どちらか片方の下腹部が痛いことが多く、子宮収縮のように短い時間で繰り返すような痛みではありません。足のつけ根の痛みと感じる方もいます。

診察してまったく異常がないことで診断し、特に対処は必要ありません。妊娠期間中まったく気にならない方もいます。

6.子宮筋腫の変性痛

Yin & Yang
Yin & Yang / Torsten Mangner

子宮筋腫は平滑筋がうずまいてこぶ状になったもので、子宮自体へ流れる血液で育ちます。しかし妊娠すると筋腫より赤ちゃんに血流がいくため、栄養不良になって中身が壊死することがあり、これを変性といいます。

このようにして妊娠前からあった筋腫が、妊娠中に変性を起こして痛むことがあります。このときに痛みを起こす物質には、子宮収縮も起こす作用があるので、消炎鎮痛剤を内服して痛みを抑えます。

妊娠5ヶ月でも痛みが強いときは病院へ

痛みは個人差が大きい

腹痛のとき、まじめな人ほど我慢しようとします。こんなことで連絡するのは恥ずかしいと思ってしまうのかもしれません。

でもこれまで私が診てきた、妊娠5ヶ月で流産した方の中には、「昼からお腹が痛かったけど、便秘だと思っていた」「安定期に入ったから大丈夫だと思っていた」と泣きながらおっしゃる方が少なくありません。

痛みには個人差があり、「このくらいの痛みなら原因はこれ」ということはむずかしいです。受診していただければ原因もわかることが多いですし、それに応じて薬も使えます。何も異常がないなら、それに越したことはありません。

ただの腹痛とは思わずに、あなたと大切な赤ちゃんのために、病院へいくことをためらわないでください。

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